変形性膝関節症

変形性膝関節症の主な症状は、立ち上がるときの痛み、歩きはじめの痛みです。正座や階段昇降も困難となります。関節の状態が悪化すると、安静時にも痛みがとれず、まったく歩けなくなることもあります。主な原因は、関節軟骨の老化です。加齢に伴って関節軟骨が徐々に弾力性を失い、すり減っていくと、膝関節が変形していきます。骨折、靱帯損傷、半月板損傷などの後遺症として発症することもあります。

半月板損傷

半月板は、膝関節の隙間にある組織のひとつです。膝の負荷を和らげるクッションとしての働きと、膝の曲げ伸ばしの際に下肢を安定させる働きがあります。半月板が損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。進行すると、膝に関節液がたまったり、急に膝が動かなくなったりします。痛みが強くて歩けなくなる患者様もいらっしゃいます。

膝関節靭帯損傷

膝関節靭帯損傷は、スキーやサッカーなど、膝に負担がかかるスポーツを行っているときによく起こります。交通事故の際にも、大きな力が膝に加わることがあり、その外力の方向に応じて種々の靭帯損傷を生じます。受傷後3週間ごろまでの急性期は、膝の腫れや痛みが強く、可動域制限もみられます。しかし、急性期を過ぎると痛み、腫れ、可動域制限はいずれも軽快していきます。これらの症状は治まるのですが、損傷部位によっては膝の不安定感やぐらつきを感じるようになります。

オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病は、膝下のすねが隆起してきて、痛みを伴うようになる疾患です。運動を続けると痛みが強くなり、安静にしていると症状が改善します。特に、発育期のスポーツ少年に起こりやすいと言われています。10~15歳の成長期のお子様が、走ったり、ジャンプやボールを蹴るスポーツをし過ぎると、発症します。主な原因は、脛骨結節の継続的な負荷です。膝蓋骨に付着している靭帯は、膝を伸ばす力の繰り返しによって大きな緊張力がかかります。このような動作が続くと、脛骨結節の成長軟骨部が痛めつけられ、炎症がおこります。

ジャンパー膝(大腿四頭筋腱付着部炎・膝蓋腱炎)

大腿四頭筋腱付着部炎は、サッカーやランニング、バレーボールなどダッシュやジャンプをすることの多い競技の際によく起こります。主な症状は、大腿四頭筋付着部の痛みです。スポーツを行っているときだけではなく、歩行時、階段の昇降時にも痛みます。膝蓋腱炎も、ダッシュやジャンプをすることの多いアスリートにみられます。主な症状は、膝蓋靱帯付着部の痛みです。

鵞足炎(がそくえん)

鵞足炎は、膝の鵞足(がそく)と呼ばれる部分が炎症を起こしている状態です。膝関節の曲げ伸ばしを繰り返すと、この部位に負荷がかかります。ある程度までは特段の炎症や痛みが生じないのですが、不適切なトレーニングメニューを続けていたり、肥満体系で膝に負担がかかりやすかったりすると、鵞足に炎症が起こってしまい、運動後に痛みを感じることがあります。

ランナー膝(腸脛靭帯炎)

腸脛靭帯炎は、主に長時間のランニングを行うことにより、膝の外側が痛くなってくる疾患です。陸上の長距離種目を行っている人によく生じるため、ランナー膝とも呼ばれています。腸脛靭帯は、右殿部より大腿骨の外側を通って、脛骨の外側につながっています。膝の曲げ伸ばしのときには、腸脛靭帯が大腿骨の外側の出っ張り部分にこすれます。長距離ランナーの場合、この腸脛靭帯が何度もこすれてしまうので、炎症を引き起こすようになります。